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4.2.2Nb3Sn実験用コイルの製作および超電導線材特性試験
今年度は製作したNb3Sn超電導線材を用いて実験用・コイルの製作および超電導線材特性試験に用いる実験装置の製作及び線材特性予備試験を終了した。
以下に超電導線材特性予備試験の進行状況と、現在までに得られている試験結果を示す。
1)素線での臨界電流測定
超電導ケーブルの素線を取り出しての臨界電流測定結果を図4.2.2に示す。
690℃×120hの熱処理を行った場合には12Tにおいても素線あたり120Aの臨界電流があり、ケーブルとしては3,600Aが期待される。しかしながら、絶縁を確保する上で690℃ではグラスファイバーにとっても損傷が大きな温度であり、素線表面のクロムの内部拡散も激しいことが予測されるので、650℃×180hを当面の熱処理のべースラインとした。
2)素線間接触抵抗の測定
高温熱処理に対して、従来のNb3Sn線材はシンタリング効果があり、多芯ケーブルであっても熱処理過程で互いに接合してしまい、単芯線となってしまう欠点があり、渦電流による磁場擾乱で実用になる磁場精度の実現が困難であった。
今回作製したNb3Sn超電導線材は、表面にクロムメッキを施し、接合が起こりにくいクロムの特異性を利用している。この特性を確認するため素線間の接触低抗測定を行った。

 

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図4.2.2素線の臨界電流測定結果

 

 

 

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